子どもがいじめを受けていると分かったとき、親としては「すぐ学校に相談したい」と思うかもしれません。
しかし、子どもから「先生には言わないで!」と言われることがあります。
「先生に言ったら、もっといじめられるかもしれない」
「先生に知られたら、クラスで大ごとになるかもしれない」
「親が学校に相談したことが知られたら、子どもとの信頼関係まで壊れてしまうのではないか」
このような不安から、親も動けなくなってしまうことがあります。
実際に、学校への相談後に、学校側の初動や情報共有の仕方が原因となって、子どもが「相談しなければよかった」と感じてしまうケースはあります。
だからこそ重要なのは、「学校に言うか、言わないか」の二択だけで考えないことです。
子どもの不安を確認したうえで、
- 誰に相談するのか
- 子どもの名前をどこまで出すのか
- 加害側への情報共有をどうするのか
- 子ども同士を直接対面させないことができるか
- 状況が悪化したとき、学校とどう連絡を取るのか
といった「相談の進め方」を先に整理することが大切です。
【この記事の結論】
- 子どもに「先生に言わないで」と言われても、いじめをそのまま放置する必要はありません
- ただし、学校への相談方法によっては子どもの不安を強める可能性があります
- 相談前に「誰に・何を・どこまで伝えるか」を整理しておくことが重要です
- 子どもの気持ちを尊重しながら、緊急時にはすぐ動ける段取りを作っておくことが大切です
- 1 子どもが「先生には言わないで」と言うのはなぜ?
- 2 いじめを先生に言うと本当に悪化する?
- 3 「先生に言わないで」と言われたとき、親はどう動けばいい?
- 4 相談前に確認しておきたい「5つのこと」
- 5 学校へ相談する前に、証拠や記録は必要?
- 6 担任に相談するのが不安な場合はどうする?
- 7 「先生に言わないで」と言われたことを学校にどう伝える?
- 8 口頭だけでなく、学校との約束を記録しておく
- 9 「先生に相談したこと」が子どもにバレたらどうする?
- 10 学校に相談したのに対応が不十分だった場合は?
- 11 よくある質問(Q&A)
- 12 いじめ問題でお悩みの保護者の方へ
- 13 まとめ|「先生に言わないで」と言われても、相談方法を工夫する
子どもが「先生には言わないで」と言うのはなぜ?
子どもが「先生には言わないで」と言うのには、それなりの理由があります。
例えば、
- 仕返しをされるのが怖い
- 先生に相談したことで、いじめがひどくなると思っている
- 先生を信用できない
- クラスで大きな問題になるのが怖い
- 親が学校に相談したことを知られたくない
- 自分のせいで親や先生に迷惑をかけたくない
などがあります。
特に、「先生に言ったら、もっとひどくなる」と子どもが本気で怖がっている場合、その気持ちを無視して、いきなり学校へ詳しい内容を伝えると、子どもとの信頼関係に影響することがあります。
そのため、まずは、
「どうして先生に言ってほしくないの?」
と聞き、子どもが何を恐れているのかを確認することが大切です。
ただし、子どもの「言わないで」という希望を尊重することと、危険な状況を放置することは別です。
暴力や深刻な嫌がらせなど、子どもの安全に関わる状況であれば、「言わない」という約束を優先するのではなく、安全を守るために必要な相談を検討する必要があります。
いじめを先生に言うと本当に悪化する?
結論から言うと、学校への相談後に状況が悪化する可能性はあります。
ただし、問題なのは「相談したこと」そのものではありません。
学校側がどのように情報を扱い、どのような順番で対応するかが重要です。
例えば、
- 担任が加害側に不用意に情報を伝えてしまう
- 誰が相談したのかが分かる形で聞き取りをする
- 被害児童と加害児童を同じ場で話し合わせる
- 「お互い仲直りしましょう」と一方的にまとめてしまう
- 被害を受けた子どもに「あなたにも原因がある」と伝えてしまう
といった対応が行われると、子どもが不安を感じる可能性があります。
実際に、担任がクラスメイトの前で被害児童と加害児童に「お互い仲直りしよう」と伝え、その後に嫌がらせがエスカレートしたケースもあります。
そのため、
「学校に相談すること」ではなく、「どのように相談するか」
を考えることが重要です。
「先生に言わないで」と言われたとき、親はどう動けばいい?
「先生に言わないで」と言われたとき、親が取れる対応は「何もしない」か「すぐ学校へ全部話す」かの二択ではありません。
まずは、次の順番で考えてみてください。
① 子どもが「言わないで」と言う理由を確認する
まず確認したいのは、
「どうして先生に言ってほしくないのか」
ということです。
例えば、
- 仕返しが怖い
- 先生に知られたくない
- 親が学校に相談したことを知られたくない
- 先生に相談しても何も変わらないと思っている
など、理由によって対応は変わります。
「分かった。じゃあ絶対に誰にも言わない」とすぐ約束するのではなく、
「一番心配なのは何?」
と聞いてみると、子どもの不安を整理しやすくなります。
② 誰に相談するかを考える
「担任には言わないで」と言っている場合でも、学校の誰にも相談できないとは限りません。
例えば、
- 学年主任
- 生徒指導担当
- 養護教諭(保健室の先生)
- 管理職(教頭・校長)
- 以前の担任など、子どもが信頼している教員
など、担任以外の相談先を検討する方法があります。
大切なのは、「学校に相談する=必ず担任に最初に話す」というわけではないということです。
③ 子どもの名前をどこまで出すかを考える
子どもが「先生に言わないで」と言っている場合、学校へ相談するときに、
「誰が被害を受けたのか、最初から明らかにする必要があるのか」
を考えることも重要です。
もちろん、事実確認のために被害児童の情報が必要になる場合もあります。
しかし、子どもが、
「自分が先生に言ったことが分かるのが怖い」
と感じているのであれば、その不安を学校に伝えておくことには意味があります。
例えば、
- 子どもの名前を出す範囲
- 誰に情報を共有するのか
- 加害側へどのように確認するのか
などについて、学校と事前に確認しておきましょう。
④ 「誰が相談したのか」を不用意に伝えないよう学校に確認する
子どもが最も恐れていることの一つが、
「自分が言ったことが相手にバレること」
です。
そのため、学校に相談するときは、
「加害側への聞き取りを行う場合、相談者が特定されるような伝え方にならないよう配慮してください」
と事前に伝えておくことも考えられます。
ただし、学校の調査では、事実確認のために一定の情報共有が必要になる場合もあります。
そのため、
「絶対に名前を出さないでください」と一方的に要求するのではなく、どのような方法で事実確認を行う予定なのかを確認する
ことが大切です。
⑤ 被害児童と加害児童を直接対面させないよう確認する
子どもが「先生に言わないで」と言っている場合、
「相談した結果、先生に呼ばれて相手と話し合わされるのではないか」
という不安を抱えていることもあります。
そのため、学校には、
- 被害児童と加害児童を同じ場に集める予定があるのか
- 話し合いを行う場合、どのような方法を取るのか
- 子どもが不安を感じていることをどう配慮するのか
などを確認しておくと安心です。
⑥ 悪化した場合の「連絡ライン」を決めておく
今は子どもが、
「学校には言わないで」
と言っていても、状況が変わる可能性があります。
そこで、学校と、
- 暴力があった場合
- 登校できなくなった場合
- 嫌がらせが再発した場合
- 持ち物を壊されるなど、新しい被害が発生した場合
など、「この状態になったらすぐ連絡する」というラインを決めておく方法があります。
これなら、子どもが現在「言わないで」と希望している場合でも、状況が急激に悪化したときに対応しやすくなります。
相談前に確認しておきたい「5つのこと」
学校へ相談する前に、次の項目を整理しておきましょう。
【学校へ相談する前のチェックリスト】
- □ 子どもは「なぜ先生に言わないで」と言っている?
- □ 誰に相談するのが一番よさそう?
- □ 子どもの名前をどこまで学校に伝える?
- □ 加害側への情報共有について学校に確認した?
- □ 被害児童と加害児童を直接対面させないことについて確認した?
- □ 状況が悪化した場合の連絡方法を決めた?
- □ 学校とのやり取りを記録している?
このように事前に整理しておくと、「とにかく学校へ相談しなければ」と焦ってしまうことを防ぎやすくなります。
学校へ相談する前に、証拠や記録は必要?
学校へ相談する前に、分かる範囲で事実や記録を整理しておくことは重要です。
例えば、
- いつ・どこで・何があったのか
- 誰から何をされたのか
- 子どもがどのように話しているのか
- LINEやSNSなどに記録が残っているか
- 体調や登校状況に変化があるか
などです。
ただし、証拠が十分に揃ってからでないと学校へ相談できないわけではありません。
「証拠がないから相談しない」のではなく、分かっている事実を整理したうえで早めに相談することも大切です。
証拠の具体的な残し方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ 学校へ相談する前に残しておきたい「いじめの証拠」まとめ
担任に相談するのが不安な場合はどうする?
子どもが「先生に言わないで」と言っている理由が、担任への不信感である場合もあります。
その場合は、
- 学年主任
- 生徒指導担当
- 養護教諭
- 教頭・校長などの管理職
など、別の教員へ相談する方法もあります。
また、担任に相談したとしても、
「子どもが先生に相談したことを知られるのを非常に怖がっています」
と最初に伝えておくことで、学校側が子どもの不安を把握したうえで対応できる可能性があります。
「先生に言わないで」と言われたことを学校にどう伝える?
学校へ相談するときは、単に、
「うちの子がいじめられています。何とかしてください」
と伝えるだけではなく、
「子どもが学校へ相談することを非常に怖がっています」
という点も伝えることが重要です。
例えば、
【学校へ伝える内容の例】
- 子どもからいじめについて相談を受けている
- 子どもは「先生には言わないで」と強く希望している
- 理由として、仕返しや状況の悪化を心配している
- そのため、情報共有の範囲について配慮してほしい
- 事実確認を行う場合の方法を事前に確認したい
- 状況が悪化した場合の連絡方法も決めておきたい
というように、「いじめの事実」だけでなく、「子どもが何を怖がっているのか」まで伝えることがポイントです。
口頭だけでなく、学校との約束を記録しておく
学校との相談で、
- 誰が対応するのか
- どこまで情報共有するのか
- どのように事実確認をするのか
- 再発した場合はどうするのか
などを確認した場合は、その内容を記録しておきましょう。
特に、後から「そこまで聞いていなかった」「そのような約束はしていない」という認識のズレが起きることがあります。
重要な内容については、必要に応じて書面に整理しておく方法もあります。
学校への要望を整理して書面で伝える方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ いじめの要望書の書き方|学校に動いてもらうための基本
▶ そのまま使える要望書テンプレート(コピペOK)
「先生に相談したこと」が子どもにバレたらどうする?
親が学校へ相談したことを、子どもに知られてしまうこともあります。
その場合、隠し続けるよりも、
「どうして学校に相談したのか」
を子どもの気持ちを聞きながら説明することが大切です。
例えば、
「あなたが大切だから心配だった」
「怖い思いをしているのに、何もしないことはできなかった」
など、親がなぜ相談したのかを丁寧に伝えます。
そして、
「先生に言わないでと言ったのに」
と子どもが怒った場合は、すぐに言い訳をするのではなく、まず子どもの気持ちを聞いてください。
「約束を破られた」と感じている可能性もあるからです。
一方で、子どもの安全に関わる場合には、親が必要な相談を行うこともあります。
子どもの希望を尊重することと、安全を守ることの両方を考えることが重要です。
学校に相談したのに対応が不十分だった場合は?
学校へ相談したものの、
- 「様子を見ます」と言われただけ
- その後の状況確認がない
- いじめが続いている
- 学校との認識にズレがある
という場合には、次の対応を考える必要があります。
この場合は、⑲で学校が動かない場合の対応を詳しく解説するのではなく、以下の記事を参考にしてください。
▶ 学校がいじめに対応してくれない時の対処法
学校とのやり取りを続ける場合には、
- いつ相談したか
- 何を伝えたか
- 学校から何と言われたか
- その後どうなったか
を記録しておくことも重要です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 子どもが「先生に言わないで」と言うのはなぜですか?
仕返しが怖い、先生を信用できない、問題が大きくなるのが怖いなど、さまざまな理由があります。
まずは「どうして言わないでほしいの?」と聞き、子どもが何を恐れているのかを確認してみましょう。
Q2. 「先生に言わないで」と言われたら、本当に学校へ相談しないほうがいいですか?
必ずしもそうではありません。
子どもの希望を尊重することは大切ですが、いじめを放置することとは別です。
誰に・何を・どこまで伝えるのかを整理し、子どもの不安に配慮しながら相談する方法もあります。
Q3. 担任に相談するのが怖い場合はどうすればいいですか?
学年主任、生徒指導担当、養護教諭、教頭・校長など、担任以外の教員へ相談する方法があります。
子どもが担任を信用していない場合は、そのことも学校へ伝えておきましょう。
Q4. 学校へ相談すると、誰が相談したのか相手にバレませんか?
学校の事実確認の方法によっては、相談者が推測される可能性があります。
そのため、相談するときには、「子どもが相談したことを知られることを非常に怖がっている」と学校へ伝え、どのような方法で事実確認を行う予定なのかを確認しておくことが大切です。
Q5. 子どもに学校へ相談したことがバレたらどうすればいいですか?
まずは子どもの気持ちを聞き、なぜ学校へ相談したのかを丁寧に説明しましょう。
また、誰から「いじめの件を相談したこと」を聞いたのか(バレたのか)を確認する必要もあります。
先生たちから「相談したこと」がバレたのなら今後の対応を修正する必要がありますし、クラスメイトからバレた場合なら「さらなる被害」が起きないようにすぐに対策を講じることができます(誰から言われたのか、何人いるのか、人数が増えたのかなどを踏まえて対策を講じることができる)。
「あなたが大切だから心配だった」など、親が相談した理由をきちんと伝えることが大切です。
いじめ問題でお悩みの保護者の方へ
子どもから、
「先生には言わないで」
と言われると、親としても非常に悩むと思います。
学校へ相談すれば状況が悪化するかもしれない。
しかし、何もしなければ、いじめが続いてしまうかもしれない。
このような場合に重要なのは、「相談するか、何もしないか」の二択にしないことです。
子どもの不安を確認しながら、
- 誰に相談するのか
- 何を伝えるのか
- 子どもの名前をどこまで出すのか
- 加害側へどのように情報を伝えるのか
- 状況が悪化した場合にどう動くのか
を学校と事前に整理しておくことが、子どもの不安をできるだけ抑えながら対応するポイントになります。
ひまわり行政書士事務所では、いじめ問題に関するご相談を受け付けています。
「学校にどう伝えればいいか分からない」
「子どもから先生に言わないでと言われている」
「今の学校への相談方法でよいのか不安」
という段階でもご相談いただけます。
状況をお聞きしたうえで、要望書などの書面による対応が必要かどうかも含めてご案内します。
いじめ問題でお悩みの保護者の方へ
- 相談は無料
- 匿名相談も可能
- 無理な営業は一切ありません
「学校に相談するべきか迷っている」という段階でも問題ありません。
今の状況を一度整理してみることから始めてください。
▶ 無料相談で状況を整理してみる
すぐに書面による対応を検討したい方は、こちらもご覧ください。
- 学校への要望書作成の依頼
- 内容証明作成の依頼
- オンライン相談
【「先生に言わないで」と言われたら】
- まず、子どもがなぜ「言わないで」と言っているのか確認する
- 相談先を考える
- 学校へ伝える情報の範囲を整理する
- 情報共有や事実確認の方法を学校と確認する
- 悪化した場合の連絡方法を決めておく
- 学校とのやり取りは記録しておく
まとめ|「先生に言わないで」と言われても、相談方法を工夫する
子どもに「先生には言わないで」と言われた場合、親としてどう動くべきか迷うのは当然です。
子どもがそう言う背景には、
- 仕返しへの恐怖
- 先生への不信感
- 問題が大きくなることへの不安
などがあります。
そのため、子どもの気持ちを無視して、いきなり学校へすべてを伝えることには慎重になる必要があります。
一方で、「言わないで」と言われたから何もしないことが、必ずしも子どもを守ることになるわけでもありません。
大切なのは、
- 子どもが何を怖がっているのか確認する
- 誰に相談するのか考える
- 情報共有の範囲を整理する
- 学校に事実確認の方法を確認する
- 悪化した場合の対応方法を決めておく
- 学校とのやり取りを記録する
というように、「相談するか・しないか」ではなく、「どう相談するか」を考えることです。
子どもの気持ちを大切にしながら、必要なときには学校と連携できるよう、あらかじめ段取りを作っておきましょう。