いじめ要望書の書き方|まずは「事実」と「要望」を整理しましょう
※この記事は「学校に相談しても対応が変わらず、文書で学校に要望を伝えたい保護者の方」に向けて書いています。
いじめについて学校に相談しても、
- 「様子を見ましょう」と言われたまま状況が変わらない
- 学校の対応が曖昧で、何をしているのか分からない
- これまで相談した内容や学校への要望を文書として整理したい
このような場合には、学校へ要望書を提出するという方法があります。
要望書は、保護者が学校に対して、
- これまでに何があったのか
- 子どもにどのような影響が出ているのか
- これまで学校へ何を相談したのか
- 今後、学校に何を求めるのか
を文書で整理して伝えるためのものです。
口頭だけでは伝えにくい内容も、文書にすることで「いつ・何を伝え、何を求めたのか」を明確にできます。
ただし、要望書を書けば必ず学校が希望どおりに対応するというものではありません。
重要なのは、感情的な訴えだけではなく、確認してほしい事実と、学校に求める具体的な対応を分けて書くことです。
いじめ要望書を書く前に確認したいこと
要望書は、いきなり文章を書き始めるよりも、先に事実関係を整理しておくと書きやすくなります。
要望書を書く前の5項目チェック
- いつ・どこで・誰から・何をされたのか
- その行為は1回だけか、繰り返されているのか
- 子どもにどのような影響が出ているのか
- これまで学校へいつ・誰に・何を相談したのか
- 今後、学校に何をしてほしいのか
特に重要なのが最後の「学校に何をしてほしいのか」です。
「きちんと対応してください」だけでは、学校側が具体的に何をすればよいのか分かりにくくなります。
そのため、
- 事実関係を確認してほしい
- 再発防止について説明してほしい
- 学校生活中の見守りについて検討してほしい
- 今後の対応方針を保護者へ説明してほしい
など、できるだけ具体的に整理します。
いじめ要望書の基本構成|8つの項目
ここからは、要望書を作る際の基本的な構成を紹介します。
① 宛名
基本的には学校長宛として作成します。
例:
〇〇小学校
校長 〇〇〇〇様
学校の事情によって提出先や共有方法が異なる場合がありますので、必要に応じて学校へ確認してください。
② 件名
何についての文書なのかが一目で分かる件名にします。
例:
「いじめに関する対応の要望について」
③ いじめの事実関係
ここでは、できるだけ確認できる事実を時系列で整理します。
例えば、
- いつ起きたのか
- どこで起きたのか
- どのような行為があったのか
- 何回程度繰り返されているのか
などです。
「相手は最初から悪意を持っていた」など、本人の内心について推測する表現よりも、
「〇月〇日、休み時間に〇〇と言われた」
のように、確認できる出来事を中心に書く方が整理しやすくなります。
④ 子どもへの影響
いじめによって子どもにどのような変化が生じているのかを記載します。
例えば、
- 登校を嫌がるようになった
- 学校を休むようになった
- 眠れなくなった
- 食欲が落ちた
- 学校生活に不安を感じている
などです。
ここでも、単に「非常に苦しんでいる」とするだけではなく、実際に起きている変化を書くと状況が伝わりやすくなります。
⑤ これまでの学校対応
これまで学校へ相談した経緯を整理します。
- いつ相談したのか
- 誰に相談したのか
- 何を伝えたのか
- 学校からどのような説明・対応があったのか
- その後、状況がどうなったのか
この部分は、後から学校や教育委員会などに経緯を説明するときにも重要になります。
⑥ 学校への要望
要望書の中でも特に重要な部分です。
「学校をどう責めるか」ではなく、今後どのような対応をしてほしいのかを具体的に書きます。
例えば、
- 事実関係を確認してほしい
- 再発防止に向けた対応を検討してほしい
- 学校生活中の見守りや安全確保について検討してほしい
- 今後の対応方針を保護者へ説明してほしい
などです。
「しっかり対応してください」だけで終わらせないことがポイントです。
×「学校としてしっかり対応してください」
○「事実関係を確認し、今後の対応方針を説明してください」
○「再発防止に向けて、学校としてどのような対応を行うのか説明してください」
のように、学校に求める行動を具体化すると、要望の内容が伝わりやすくなります。
⑦ 回答方法・回答期限
必要に応じて、学校からの回答方法や期限を記載します。
例:
「〇年〇月〇日までに、書面または面談にてご回答くださいますようお願いいたします。」
ただし、期限を設定すれば学校が必ずその日までに回答しなければならない、という意味ではありません。
学校との状況に応じて、無理のない期限を設定しましょう。
⑧ 日付・保護者氏名・連絡先
最後に、
- 提出日
- 保護者氏名
- 連絡先
などを記載します。
要望書を書くときに避けたいNG表現
要望書は、保護者の気持ちを学校へ伝える大切な文書です。
だからこそ、怒りや不安が強いときほど、文章を一度整理してから提出することをおすすめします。
① 制裁を中心にした要求
例えば、
- 「加害生徒を退学させてください」
- 「担任を辞めさせてください」
- 「相手の保護者に責任を取らせてください」
など、相手への制裁を中心にすると、学校に求めたい本来の対応が伝わりにくくなる場合があります。
要望書では、
「相手をどう処分してほしいか」だけではなく、「子どもの安全や今後の学校生活のために何をしてほしいのか」
を中心に整理しましょう。
② 感情的・攻撃的な表現
例えば、
- 「学校は何もしていない」
- 「学校は隠蔽している」
- 「先生は無責任だ」
などの断定的な表現は、実際に確認できる事実と分けて考える必要があります。
「学校が隠蔽している」と感じている場合でも、
「〇月〇日にこのように相談したが、その後〇〇について説明がありませんでした」
のように、具体的な事実に置き換えると状況を整理しやすくなります。
要望書は「怒りを伝える文書」ではなく、「事実と今後の要望を整理して伝える文書」と考えると書きやすくなります。
要望書のテンプレート・実例を見る
ここまでの構成をもとに、実際の文章にするとどのようになるのか確認したい方は、専用記事をご覧ください。
要望書を提出するときに確認したいこと
作成した要望書を提出する前に、次の点を確認しておきましょう。
- 事実と推測が混ざっていないか
- 時系列が分かるようになっているか
- 子どもへの影響が具体的に書かれているか
- これまでの学校対応が整理されているか
- 学校に何を求めているのか明確になっているか
- 感情的・攻撃的な表現が入っていないか
特に、最後にもう一度「この要望書を読んだ学校に、何をしてほしいのか」を確認してください。
要望書を提出した後、学校の対応が変わらない場合
要望書を提出したからといって、必ずすぐに状況が改善するとは限りません。
提出後も、
- 学校から回答がない
- 回答はあったが状況が改善しない
- いじめ行為が続いている
- 学校との話し合いが進まない
といったケースがあります。
その場合は、提出後の経緯や新たに発生した事実を整理しながら、次の対応を検討します。
要望書を提出した後の対応を知りたい方へ
よくある質問(FAQ)
Q1. 要望書は手書きとパソコンのどちらがいいですか?
どちらでも作成できますが、内容を整理しやすく、修正もしやすいため、パソコンで作成する方法が便利です。
重要なのは形式よりも、事実と要望が分かりやすく整理されていることです。
Q2. 要望書は誰宛てに出せばいいですか?
学校へ提出する場合は、一般的には学校長宛として作成します。
ただし、学校ごとに提出方法や内部での共有方法が異なる場合がありますので、必要に応じて確認してください。
Q3. 要望書に証拠を添付する必要はありますか?
必ず添付しなければならないわけではありません。
ただし、
- 日時や内容を記録したメモ
- 学校とのメールや連絡履歴
- その他、事実関係を補足できる資料
などがある場合には、内容に応じて整理しておくと、これまでの経緯を説明する際に役立ちます。
証拠について詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてください。
Q4. 要望書はいつ提出すればいいですか?
一律に「このタイミング」という決まりがあるわけではありません。
例えば、
- 学校へ相談したが改善が見られない
- 同じ行為が繰り返されている
- 学校にこれまでの経緯を文書として伝えたい
- 今後求める対応を明確にしたい
といった状況では、要望書を作成する意味があります。
ただし、子どもの安全に関わる緊急性がある場合には、文書作成を待つのではなく、まず学校へ直接連絡するなど、状況に応じた対応を優先してください。
Q5. 要望書を匿名で提出できますか?
匿名での提出が可能かどうかは、提出先や状況によって異なります。
要望書で具体的な対応を求める場合には、誰からの要望なのかを明らかにして提出する方が、内容を確認してもらいやすい場合があります。
Q6. 要望書を書いたけれど、自分の文章で大丈夫か不安です
要望書は、
- 事実関係
- 子どもへの影響
- これまでの学校対応
- 今後の要望
が整理されているかを確認することが大切です。
特に、学校とのやり取りが複雑になっている場合や、これまで何度も相談している場合には、一度第三者に文章全体を確認してもらう方法もあります。
まとめ|いじめ要望書は「事実」と「具体的な要望」を整理することが大切
いじめの要望書を作成するときに重要なのは、難しい言葉を使うことではありません。
「何があったのか」
「子どもにどのような影響が出ているのか」
「これまで学校に何を相談したのか」
「これから学校に何をしてほしいのか」
を整理して、学校に伝わる形にすることです。
特に、学校への要望は、
「しっかり対応してください」
ではなく、
「何を確認してほしいのか」
「どのような対応を検討してほしいのか」
「どのように説明してほしいのか」
まで具体化することを意識してください。
「書き方は分かったけれど、自分のケースに当てはめると難しい」という方へ
学校とのこれまでのやり取りや、お子さんの状況によって、整理する内容は変わります。
要望書の内容について不安がある場合は、提出前に第三者へ確認してもらう方法もあります。