いじめアンケートは証拠になる?回答の書き方・注意点・保存方法を解説
学校から配布される「いじめアンケート」
子どもが「いじめを受けているのでは?」と焦る一方、保護者としては
◆これって証拠になるの?
◆正直に書いたら、子どもが不利にならない?
◆学校に握りつぶされない?
と不安になる時がありますよね。
結論から言うと、いじめアンケートは「証拠になり得ます」。
ただし、書き方・提出の仕方・保存の仕方を間違えると、せっかくの情報が「弱い材料」になってしまうこともありますので注意が必要です。
この記事では、いじめ問題の実務に沿って、アンケートが証拠として有効になる理由と、今日からできる具体的な対策を解説します。
結論|いじめアンケートは「証拠になる」ことが多い
いじめアンケートは、法律上の「証拠」としても、学校対応を動かすための「資料」としても、有効になる可能性があります。
理由はシンプルで、アンケートは
1、学校が作成・配布した公式書面
2、提出日が特定できる
3、学校が受領した事実が残る
という性質を持つからです。
特に、あとから「いつからいじめが始まったのか」「学校はいつ把握したのか」が争点になる場面では、アンケートは強い材料になり得ます。
さらには「どんなことが起きていたのか」という点も整理できるため、学校が事実確認を進める上で重要な資料になります。
いじめアンケートが証拠として有効になる3つの理由
いじめのアンケートが証拠として有効になり得る理由として、以下のポイントが挙げられます。
ただし、「どのような内容をアンケートに記載していたのか」によって結果が変わっていきますので注意が必要です。
① 学校が「把握していた」ことを示せる
いじめ問題で保護者が最も苦しむのが、「学校に言ったのに、対応してくれない」という状況です。
この悩みは多くの保護者が一度は思ったことがあるのではないでしょうか。
そのとき学校側がよく言うのが、
1、聞いていない(相談した先生が、ちょうどその時にいないとか)
2、知らなかった(担任で話を止めていたケース)
3、その時点ではいじめと認識できなかった(学校が動かないケースのほとんどがこれに該当する)
という言い分です。
しかしアンケートを提出していれば、少なくとも「学校に伝えた」事実を残せます。
② 時系列(いつ・何が起きたか)を残せる
いじめの証拠で重要なのは派手な決定打よりも、「いつから」「どのくらいの頻度で」「どんなことが」という時系列の積み重ねです。
特に、「どのくらいの頻度で」というポイントが、いじめの深刻度を表す上で重要なポイントになります。
アンケートは提出日が明確なので、いじめの経過を記録する一部として使いやすいのが特徴です。
③ 後日の要望書・内容証明の裏付け資料になる
学校が動かない場合、保護者は次の一手として
●学校宛の要望書
●教育委員会への相談
●内容証明郵便での通知
などを検討することになります。
その際、アンケートの控えがあると、「以前から学校に伝えていた」ことの裏付けとして役立ちます。
注意|アンケートだけで「十分な証拠」になるとは限らない
ここは大事なので正直にお伝えします。
いじめアンケートは証拠になり得ますが、アンケート1枚だけで全てが解決するケースは多くありません。
理由は、アンケートが万能ではなくて、
□記入スペースが少ない
□詳細を書けない(チェック方式・○×方式であるために書けない)
□学校側が「主観」と扱うことがある
からです。
そのため、アンケートの意味合いを「最初の公式記録」として定めて、必要に応じて、次の証拠(資料)もセットで揃えるのがおすすめです。
例えば、
1、いじめの記録(日時・場所・内容)
2、LINEやSNSのスクショ
3、担任とのやり取り(メールや学校との話し合いを記録したメモ・録音でも可)
4、診断書(心身に影響がある場合、特に不登校気味になっている場合の補完資料になる)
これらを資料(証拠)として揃えておくことで次の一手が取りやすくなります。
いじめアンケートの回答が「強い証拠」になる書き方
ここからが一番大事です。
アンケートは書き方次第で
◆学校が動きやすくなる
◆記録として残りやすくなる
◆後日争点になりにくくなる
という効果が出ます。
ポイント① まずは「事実」を書く(主観は分ける)
アンケートで最も強いのは、誰が読んでも分かる事実です。
例えば、
●いつ(〇月〇日頃から)
●どこで(教室、廊下、SNS等)
●誰が(分かる範囲で)
●何をした(言われた、された)
「5W1H」を前提に事実を淡々と書きます。
なので、いじめの事実に関してできるだけ細かく情報を集めることが重要になります。
ポイント② 具体例を1〜2個だけ入れる
スペースが少ないアンケートでも、具体例が1つあるだけで説得力が大きく変わります。
身体的に深い傷を残す出来事をされた、言われた場合がこれに該当します。
例えば、以下のいじめが起きているなら必ず記載するようにしましょう。
●「死ね」「消えろ」と言われた
●グループから外され、昼休みは一人で過ごしている
●持ち物を隠され、探しても見つからなかった
文部科学省が公表している「いじめの重大事態に関するガイドライン」では、上記の事例の他に、
●自殺未遂
●服を脱がされる等の辱めを受ける
●不登校の時期が長期化
●身体に症状として出てしまっている場合(嘔吐、めまい、起立性調節障害など)
●SNS経緯でインターネットに画像が流出している(勝手に撮影されて公開されている等)
などの行為を「いじめ重大事態」として認定し、学校・教育委員会等と連携して早急に対応しなければならないとしています。
ポイント③ 子どもの変化を「観察事実」として書く
いじめの証拠は、加害行為だけではありません。
上記の「ポイント②」でも挙げていますが、家庭での変化(症状がでているか)も重要です。
□朝になると腹痛を訴える
□学校の話を避けるようになった
□食欲が落ちた
□夜眠れなくなった
このような内容は後日の説明資料としても役立ちますし、医療機関の診断書によって学校の理解度(いじめの深刻度)が深まる場合があります。
ポイント④ 「お願いしたいこと」を短く添える
アンケートは「事実を伝えるツール」ではありますが、同時に学校に動いてもらうきっかけにもなります。
そのため、最後に(チェック方式や○×形式なら余白に)
●事実確認をしてほしい
●担任・学年主任と面談したい
●安全配慮(席替え等)をしてほしい
など、要望を短く添えると効果的です。
絶対に避けたい書き方(証拠として弱くなる)
次のような書き方は、学校側に「感情的」「主観的」「確認できない」と処理されてしまう可能性があります。
NG① 犯人探し・断定だけを書く
以下の内容のように、「○○がしているはず」「(まだ分からないのに)○○している」といった内容を記載することは避けるようにしましょう。
例えば、
1、「〇〇くんがいじめをしているはずなので聞き取りをお願いします」
2、「担任がいじめを隠しています」
もちろん実際にそう感じることはありますが、アンケートではまず「事実」を中心に書く方が強いです。
NG② 法的な断定(違法・犯罪など)
前述したようにアンケートは「学校に状況を伝える術」になりますから、法的解釈を書いても対応が進むかどうかは別問題です。
できるだけ今はしなくてもいいことや時間がかかることは避けて、すぐに動けるように必要最小限の内容を記載するようにしましょう。
例えば、
1、「これは犯罪です」
2、「名誉毀損です」
アンケートは学校の内部対応のための資料なので、法的評価の断定は避けるのが無難です。
NG③ 長文すぎる(読まれない)
気持ちは痛いほど分かりますが、長文になるほど学校側のアンケートに対する解像度が低くなります。
1、重要点が見えない
2、対応の優先順位が下がる
ということが起きがちです。
すぐに事実を伝えることがアンケートの肝であり、「短く・要点だけ」にするのがコツです。
提出前に必ずやること|アンケートは「控え」が命
アンケートを証拠として活かすなら、提出前に、必ずコピー(写真)を取ってください。
具体的には
1、スマホで全ページ撮影
2、PDF化して保存
3、印刷してファイルに保管
をおすすめします。
学校に提出した原本は戻ってこないことがほとんどで、控えがないと後から、
●何を書いたか
●いつ提出したか
が曖昧になり、証拠としての価値が落ちてしまいます。
「いじめアンケート提出後の流れ|学校は何をする?」も参考にしてください。
「アンケート提出時にやるべきこと」チェックリスト
こちらに「アンケート提出時にやるべきこと」をまとめましたので、是非ご活用頂ければと思います。
□ 提出前に写真を撮った(PDF化した)
□ 提出日をメモした
□ 担任に提出した事実が分かる形にした(封筒・連絡帳など)
□ 余白に要望を短く書いた
□ 次の面談で話すことを整理した
提出後に学校が動かないときの現実的な次の一手
アンケートを出したのに学校から何も連絡がない、または、曖昧な対応で終わってしまう。
実務上、こういうケースも残念ながら少なくありません。
その場合は、次のように段階を踏むのが現実的です。
① 面談の申し入れ(口頭+記録を残す)
担任に連絡し、面談を申し入れます。
このとき、できれば前述の「アンケートの控え」を持参して面談を実施、メール等で記録が残る形にしておくのが安心です。
② 要望書で「学校としての対応」を正式に求める
口頭で進まない場合は、要望書が有効です。
要望書は、学校に対して
■事実確認
■安全配慮
■再発防止
などを「書面で」求める方法です。
③ 教育委員会への相談(学校外ルート)
学校が動かない場合、教育委員会への相談も検討します。
その際、アンケートの控えがあると、状況説明がスムーズです(その他、いじめを証明できる資料等あればなお良い)。
④ 内容証明郵便で「記録」を残す
学校に再度面談などの申し立てや要望書を用いて申し立てしても、さらに深刻な場合や動かない場合には、内容証明郵便で通知を行う方法を検討する必要があります。
内容証明とは「いつ」「何を伝えたか」を郵便局が証明してくれる制度です。
よくある質問(Q&A)
ここでは、実務上よくある質問に対して回答をまとめてみましたので、該当することがあれば参考になれば幸いです。
Q1. アンケートに「いじめがある」と書くと子どもが不利になりますか?
不安になりますよね。
ただ、いじめが疑われる状況であれば、事実を淡々と記録する形で回答するのが基本です。
むしろ、何も書かないと学校が把握できず、対応が遅れる可能性があります。
Q2. アンケートを出したのに学校から連絡がありません
学校によっては、アンケート提出=即対応ではない場合がありますが、ほとんどの学校で「すぐに対応はしない」ことが多いです。
数日待っても連絡がない場合は、担任に「アンケートを提出したが、状況確認をしたい」と伝えて面談を申し入れることも可能ですので、検討してみると良いです。
Q3. アンケートの控えは写真でもいいですか?
はい、写真でも構いません。
ただし、後日見返しやすいように、PDF化して保存しておくと安心です。
Q4. 学校がアンケートを無視したら意味がないですか?
学校がアンケートを出した後で対応しない状況であった場合でも、アンケートを提出した事実が残りますので意味はあります。
学校が動かなかったとしても、アンケートは
1、学校が把握したはずの記録
2、保護者が相談した証拠
として残り得ます。
つまり、これだけ事実をまとめた資料(アンケート)を提出しても「動かない」という事実が残りますので、この事実を元に教育委員会やその他の機関へ相談またはその他の方法(要望書・内容証明)で伝えましょう。
→ 「アンケート提出後に学校が動かないときの対処法」はこちら
まとめ|アンケートは「証拠」になる。だから控えを残し、次の一手につなげよう
今回の記事では、「アンケートが証拠となるのか」についてまとめてきました。
結論は以下のとおり、
1、いじめアンケートは、証拠になり得る
2、特に「学校が把握していた」ことを示す材料になる
3、書き方は「事実+具体例+要望」が強い
4、提出前に必ずコピー(写真)を取る
5、学校が動かない場合は要望書・教育委員会・内容証明へ
いじめのアンケートは証拠として有効になり得ること、アンケートを出してからの対応についても、実務上を踏まえて併せて紹介してきました。
いじめ問題は、早期に動けるかどうかで、子どもの安全も解決までの負担も大きく変わります。
もし学校が動かず困っている場合は、書面での整理(要望書・内容証明)が現実的な選択肢になります。
次の行動に迷っているなら
アンケートを出した後の対応や現在の状況について、我が子に起きたいじめが発覚すると不安が続いてキチンと自分で判断できなくなる場合があると思います。
他に相談する場所がなくて、どうしたらいいのかさらに不安が大きくなっているのではありませんか?
1つの方法として、ひまわり行政書士事務所ではいじめに関する相談を数多く受けている実績があり、その実績を基にいじめの被害状況に合わせた相談を受け付けております。
また、事案ごとに適切な表現や進め方は異なりますので、まずは状況整理から一緒に行うことも可能です。
お気軽にご相談下さい。
