学校におけるいじめ対策の重要な柱として、アンケートによる定期的な実態把握があります。
いじめ防止対策推進法でも、児童・生徒に対する定期的なアンケート調査を実施し、いじめを早期に発見・評価・改善することが求められています。
しかし、ただアンケートを実施するだけでは、いじめの早期発見や対応につながりません。
本記事では、学校が実践できる「いじめアンケートの設計と運用」について、
1、実施目的と期待される効果
2、設問設計のポイント
3、回答を分析・活用する方法
をわかりやすく解説します。
学校がいじめアンケートを実施する目的とは?
「いじめアンケート」の最大の目的は、児童・生徒の実態を定期的・体系的に把握し、変化を捉えることです。
いじめ早期発見のためのアンケートには、
○いじめが実際にどの程度起きているのか
○いじめを受けている可能性がある児童
○クラス・学校全体の雰囲気や関係性
といった情報を、継続的に収集する役割があります。
また、無記名で実施することで、児童が本当の思いを答えやすくなることも早期発見につながる工夫です。
アンケート実施の基本設計ステップ
ここからは、設計者側から見た場合のアンケート実施に関する設計について段階的に解説していきます。
① 目的を明確にする
まず、アンケートの目的をはっきりさせます。
◆目的例:学期ごとのいじめ状況の変化を把握
◆特定の行動(例:休み時間の孤立)の把握
◆学校生活全般の満足感・不安感の把握
アンケートの設問は、目的に応じて設計することで、回収したデータの分析精度が上がります。
② 記名式/無記名式・選択式の使い分け
学校によっては記名式と無記名式を使い分けて実施します。
■記名式:誰がどのような状況かを追跡したい時
■無記名式:生徒の本音を引き出したい時
どちらにもメリット・デメリットがあり、学年や状況に応じて判断します。
③ 頻度・タイミングの設定
いじめ早期発見のためには、定期的な実施が重要です。
●学期の前後(年度初・中間・終盤)
●授業参観週間や保護者面談前
定期性があることで、時系列で状況の変化を捉えることができます。
早期発見につながるアンケート設問例
アンケートの設問は、いじめの兆候を捉えやすくする構成にします。
以下は代表的な聞き方の例です。
【いじめの有無・頻度に関する設問】
- 「最近、休み時間に無視されたことがありますか?」
- 「過去2週間で、嫌な言動を受けたことがあるか」
こうした設問は、具体的な行動や頻度に焦点を当てています。
【学校生活全般に関する設問】
- 「学校生活の中で、一番辛いと感じる時間はありますか」
- 「クラスメイトと話しやすいですか」
- 「クラスの中で信頼できる生徒はいますか」
こうした設問から、いじめだけでなく学校生活全体の心理的な変化を捉えやすくなります。
※ 設問は複数選択式・5段階評価式・自由記述式を組み合わせると、より多角的な把握が可能です。
※より具体的な状況を把握したい場合は「記述式の回答」で求めると良いです。
回答を集計・分析する方法
アンケートを実施したら、回収後に以下のポイントで分析します。
■ 統計的な変化を見る
○前回との比較
○学年やクラスごとの傾向
→ 数値で変化を見ることで早期に対応策検討ができます。
(例えば、5段階形式で段階が偏っている場合、その偏っている設問の傾向や最低と最高の差が大きい部分等をチェックしていく)
■ 自由記述の分析
自由記述は、単純集計だけではなく、
○共通するキーワード
○特定の場面での言及頻度
→「いじめ」「特定の生徒の氏名」「学年」「時期」等のキーワードに着目して、現時点で起きていることをチェックすることができます。
などを分析することで有益なヒントが得られます。
アンケート結果を学校内で活用する
アンケート結果を活かすためには、
◆担任・学年主任・いじめ対策委員会での共有
◆教職員会議での意見交換
◆保護者向け報告(匿名化して共有)
など、学校内で活かす仕組みづくりが大切ですので、単独で終わる調査ではなく、実践につなげることが早期発見の鍵です。
まとめ
いじめの早期発見につながるアンケートは、
1、定期的・継続的に実施する
2、設問設計を目的に合わせて工夫する
3、回答を分析し学校内で共有・活用する
上記の3つのポイントが重要です。
本記事は、学校側・教育現場で活かすアンケート設計の基本と具体例を示しました。
1件でも多くの学校問題・いじめ問題がなくなるように、本記事が活用頂ければ幸いです。
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