いじめの早期発見に役立つアンケート手法について

いつもご覧頂き、ありがとうございます。

ひまわり行政書士事務所の佐藤と申します。

今回お伝えする内容は「いじめのアンケート」をキーワードに、いじめの早期発見に役立つアンケートの内容について紹介していきます。

昨今のいじめ問題はニュースで報道される際に「アンケートではいじめを認知できなかった」「アンケートでは書かれていなかった」という風に、いじめの詳細をアンケートで調査する意味合いが低くなっていますが、アンケートの性質や目的をキチンと設定する事で「クラスメイトの本音」を浮き彫りにする事ができます。

今回の記事の内容で少しでも多くの方々のお役に立てれば幸いです。

いじめのアンケートの本来の目的、現在の性質について

いじめのアンケートの本来の目的は「過去の事」を公にする事、いじめのアンケートを実施する事でどんな事が起きていたのか、誰が関わっていたのかを浮き彫りにする事が本来の目的になります。

いじめの内容・状況によって加害生徒が被害生徒へ、加害生徒がさらに加わるなど、いじめが取り巻く環境は結構な頻度で変化していきます。

なので、アンケート個体でいじめの問題を解決する事には向いておらず、あくまでも事実経過や実態を明らかにする為にいじめの初期被害から継続してアンケートを実施して行く必要があります。

現在において被害を受けて不登校になっている場合など継続してアンケートを実施できない場合もあると思います。その場合については継続よりも内容の正確性を担保する為に「書いた人がバレない環境」でアンケートを書ける様にしていくべきです。

また、昨今の報道でいじめのアンケートが「意味が無い(役に立たない)」「本当の事を書かない(書けない)」という固定概念が根付いています。その為、後述する「アンケート内容」の工夫や前述している「誰が書いたのかがバレない環境」を生徒達に提供していく必要があります。

いじめのアンケートを実施する際に絶対にするべき事

前述した様にいじめのアンケート個体で問題を解決できる訳ではありません。あくまでも「過去の事実」を列挙するものです。その為、アンケートを実施する為に絶対にするべき事をここで紹介していきます。

  1. いじめのアンケートの内容について正確性を保つ為に「無記名」のアンケートを実施する
  2. いじめのアンケートの内容について正確性を保つ為に「自分1人でアンケートを書ける環境」をつくる
  3. 「誰が書いたのか」が判明しない様に徹底する
  4. いじめのアンケートの公表を求めたら速やかに公表する事

①~③までに関しては、アンケートの内容(時系列や関与している生徒が何人いて誰なのか)を詳細に記載させる必要があるので極力実施していくと良いです。いじめのアンケート実施に関する提供方法や内容については保護者からの提案で実施する事ができますので、アンケートを実施する際には学校に相談する事をお勧めします。

特に③の項目について、書いたアンケートを席順が一番後ろの生徒が集める等といった回収方法だと内容がバレてしまう事が懸念されます。アンケートは唯一の「クラスメイトの生の声」なので、回収方法についても封筒に入れて回収、回収自体も先生が実施する、若しくは職員室に生徒が後日提出(先生に手渡し)するなどの工夫が必要です。また➁の内容のようにそもそもアンケートに回答するのは学校では無く、自宅で記載する方法など「公正を期す」方法で実施して行きましょう。

そして肝心なのが、アンケートを記載して詳細が判明した場合には保護者の要望で公開できるようにしていく事です(④の項目)。もちろん個人情報の兼ね合いで公開できないものもありますので、「何が公開できて、何が公開できない情報なのか」「どこまで公開できるのか」も併せて学校と打ち合わせをしていきましょう(公開する情報についても優先順位を決める)。

いじめのアンケートの内容(項目)に盛り込むべき内容

〇いじめの内容⇒特に言葉によるものや仲間外れについては詳細(どんな時に悪口を言われるのか、仲間外れにされるのか、被害者以外の場合にはどんな時に見かけるのかなど)を選択式で構成する。内容記載式の場合には後述する「いじめの時期」を記載するように構成する。

〇いじめの時期できるだけ具体的に、いつから、いつまでを詳細に記載できる様に構成する。選択式の場合には「●日から●日まで」といったように複数の項目を選択できる構成にする。内容記述式の場合には「いじめの時期」を記載するように構成する。

〇誰がやっていたのか(被害者以外は誰がやっていたか見かけたのかについて)⇒アンケートに盛り込める場合に実施する。この部分では具体的な氏名を調査する事よりも、「いじめが何人で行われていたのか」が分かれば良い。

〇「いじめ防止対策推進法」(法律)に基づくアンケートである事⇒単なる「いじめ」では無く、法律に違反した問題がクラスで起きている事を明確にしてアンケート記載に協力してもらうようにする。場合によっては法律という言葉で正確な内容をアンケートに書けないという生徒もいる為、ケースバイケースで記載していく。

いじめのアンケートに記載するべき内容(項目)については、いじめの詳細を記載する必要があるので「どんな内容なのか」「誰が関わっているのか」「いつ行われたのか」この3つを中心に記載できるように構成する必要があります。

いじめの内容については外部から見えないいじめを表面にあぶり出す事、いじめの時期については被害生徒の心身にどれだけのダメージを与えていたのか、不登校の状態が続いている場合には「いじめの重大事態」として認定されるケースもあります。

いじめ重大事態に認定されれば事実調査や保護者との情報共有の義務化など、いじめの解決に迅速に対応しなければならなくなります。万が一、訴訟問題に発展してしまった場合には双方(学校と加害生徒)の責任の所在を明らかにするために必要不可欠なツールになります。

まとめ

今回の記事では、いじめの早期発見に役立つアンケート手法についてまとめてきました。いじめは時間が経つにつれて状況が変化していきます。加害生徒が被害生徒に、加害生徒が別のクラスの生徒や違う学年の生徒が関与していくケースも少なくありません。

いじめのアンケートを利用して、いじめの早期発見や正確(秘匿性が保たれた)な情報のあぶり出しが必要不可欠になりますので、今回の記事内容が少しでも役に立てればうれしいです。

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