いじめの重大事態と認めない事が違法であると判断された事件

いつもご覧頂き、ありがとうございます。

ひまわり行政書士事務所の佐藤と申します。

今回お伝えする内容は「いじめ重大事態」をキーワードに、埼玉県川口市の中学校で起きたいじめについて、教師と学校・市の教育委員会の対応を違法と判断した内容について紹介していきます。

この判例は令和3年12月15日に判決が出た比較的新しい内容で、これからの学校や教育委員会の対応の基準となる可能性が高いです。今現在において学校や教育委員会の対応に悩んでいる場合には、こちらの内容を一度確認しておく必要があると考えます。

最後まで読んでいただけると嬉しいです。

 ※今回、埼玉県川口市で起きたいじめ問題に関する判例はコチラ
平成30年(ワ)第1465号 損害賠償請求事件

埼玉県川口市で起きたいじめの内容

今回の学校と市の教育委員会のいじめ対応が「違法」と判断された件について、基となるいじめについて簡単にまとめていきます。

今回、被害生徒とされる生徒を「A」、加害生徒とされる生徒を「サッカー部員」と表記していきます(いじめはサッカー部員複数人から受けているのでまとめてサッカー部員と表記)。

➀サッカー部のグループLINEから何の理由も無く外される(平成27年5月あたり)

➁練習中にサッカー部員からTシャツの襟首をつかまれて引き倒される(平成28年3月あたり)

③Aとサッカー部員との間で映画を見に行く事を約束していたが、その約束を破って別の友達と遊びに行く(平成28年5月あたり)

④③の内容のあと、約束したサッカー部員が「Aから一方的に文句を言われた」とウソをつき、Aは周りから責められる事になった(平成28年5月あたり)

⑤Aの家で遊ぼうとサッカー部員から誘われたが、Aはそれを断った為、サッカー部員たちは当時Aと交際をしていた女子中学生の家へ遊びに行って騒いだ(平成28年5月あたり)

⑥Aが他の部員と一緒にいたところ、別の他の部員が他の部員のみを誘い、カード販売店へ遊びに行った(平成28年9月あたり)

⑦Aが他の部員からサッカー部員からLINEで中傷されたり、サッカー部員がAの家周辺を無断で撮影してその画像がLINEに投稿した(平成28年9月)

⑧LINEにて、Aがサッカー部員によるなりすましで中傷を受ける(平成28年1月~11月にかけて)

埼玉県川口市で起きたいじめ対応の流れ

今回のいじめの発生から学校・教育委員会・文部科学省の対応について簡単な表を使いながらまとめていきます。

【いじめの対応の流れ】

➀いじめを受けた生徒と保護者が学校に対応を相談・依頼

➁いじめを受けた生徒へのサポートを実施(このサポート内容について裁判で追及、Aが家庭学習の内容を書いたノートをサッカー部顧問に提出した際にサッカー部顧問から体罰があった事が判明)

③いじめを受けた旨の相談を各教育委員会と文部科学省へ相談

④文部科学省と県の教育委員会が市の教育委員会へ「いじめ重大事態」として対応する様に通知(中学校と市の教育委員会は「いじめ重大事態」に該当しないと判断、重大事態に則した対応をしなかった)

このいじめ対応の流れにおいて、中学校と市の教育委員会が「いじめ重大事態であるのにも関わらず認めなかった事」「いじめの対応としてふさわしくない対応」があった為、裁判で「違法」と判断されました。
※今回の川口市の中学校と川口市教育委員会の対応が「違法」とされた詳細・どの様に判断されたかについては、こちらでまとめています。

※今回のいじめ問題に関する判例について、違法となったポイントについてまとめています

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いつもご覧頂き、ありがとうございます。 ひまわり行政書士事務所の佐藤と申します。 今回お伝えする内容は前回の記事を基に、いじめ重大事態と認めなかった事が違法と判断された事について、どの様な対応が違法と認められたのかをまとめていき[…]

いじめ重大事態と認めない事が「違法」となった画期的な判決

今回の判決では、埼玉県川口市の中学校と川口市教育委員会の対応(いじめ重大事態と認めなかった事も含む)が違法となった事例です。

被害生徒側がいじめの相談(対応)を学校だけでなく市と県の教育委員会と文部科学省へ行い、県の教育委員会と文部科学省は「いじめの重大事態」に該当する前提での対応を指導したのにも関わらず、中学校と市の教育委員会は「いじめの重大事態」には該当しない、現時点では重大事態に則した対応はしないと判断した事について「違法」と判断されました。

今回の判例では、いじめの被害を受けた生徒(A)が不登校になった期間が文部科学省が定めている「いじめ重大事態に関するガイドライン」において、「不登校が30日以上(もしくは相当な期間と認められる日数)」にあたるので、学校と関連機関は「いじめ重大事態」と認定もしくはそれに準ずる対応をする事が求められます。

個人的な意見として、学校と市の教育委員会の対応について違法と判断されましたが、本来学校はいじめの被害を受けた生徒のサポートといじめをした生徒を指導する役目を負っているはずです。お互い裁判で争う時点で両者の信頼関係は既に破綻、今後も自分の子供をその学校に通わせる事は難しく、現状は被害を受けた生徒側が転校など不利益を被る事がほとんどであり、この現状も裁判で違法と判断される様にならなければ「いじめ」を減少・撲滅させる事は不可能と考えています。

いじめの原因が何であり、その対応をする為に何が必要なのか?

当事務所でも随時相談を受け付けておりますので、ご相談頂ければ幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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学校生活の中で起こる「いじめ」は学校も対応できず、対応が遅れ取り返しの付かない事態に発展する事がほとんどです。「書面」という形に残す事で積極的に学校に対応を求め、事実を明るみにする事が可能です。 また、書面で学校に要望する事で「対応を求めた経緯」が事実として残るので、学校の「いじめとは認識していない」という言い訳も防ぐ事ができます。

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